エゴの崩壊、死によって生じるオーガズム。価値観や固定観念を捨てエゴの死によって愛が到来。

先日、以前から読みたいとずっと思っていた代々木 忠著の『プラトニック・アニマル―SEXの新しい快感基準』を読んだ。私は知らなかったのだが、著者の代々木忠はAV監督で80年代初頭のAV黎明期以来数々の名作を生み出した日本を代表する監督の1人らしい。

 

私含め人間はどうしても自分本位で生きがちだが、そんな私達に警鐘を鳴らすかの如くエゴを捨てる事の重要さを説いている。代々木によればオーガズムとは制度の世界で自分を自分たらしめている自我(エゴ) から自分自身を解き放つ事。これがエゴの崩壊であり「エゴの死」であるとしている。そして、私達が「愛の状態」になるには現在の自分が所有している価値観や固定観念を捨て、エゴが死んだ際に初めて人は初めて「愛の状態」になることができるとしている。

 

では、エゴの死が生じた際、私達は何になるのか。エゴの死によって自我が崩壊し自分が自分ではなくなってしまうのかという疑問が浮上するが、実際は違う。死んだのは「こうであらねばいけない」為に嘘をつく無理を重ねていた偽りの自分であり、エゴが死んだ際に人は本当の自分になれるのである。

 

パートナー(夫婦、恋人、友達等)との衝突が生じた際に私達は相手の欠点ばかり指摘しがちだが、相手の欠点とは自分の欠点の反映であり、全ては自分の足りない部分を相手を通して見ているに過ぎない。この構図に気が付くことが出来れば自分を許し、相手を許すことが出来る。既存の価値観や固定概念を捨て、自分が裸になれば相手も裸になる。これが自らの作り出した呪縛から解き放たれ「愛の状態」へと移行することが出来る。