親の期待と子供の人生

 期待されるというのは嬉しさと同時に重圧を感じるものである。と言っても、僕自身は決して大きく期待されて育てられたという訳ではないが、一人息子だったので親はそれなりに教育熱心だった様に思う。父親は比較的無関心で教育面では僕が何かやらかさない限りはあまり口を出してこなかったが、その一方で母親は過保護と言って差し支えないレベルで僕を育ててきた。

 僕にとってはそれが非常に苦痛で自由を奪われている様にさえ感じ、逃げ出したいと思った回数も少なくはない。別に母親の事が嫌いではないが、異常なまでに心配をされると「あぁ、一人の人間として認められてないんだな。」と感じてしまう。勿論、僕自身しっかりしていないし心配されてもしょうがないのは自覚しているが限度がある。いくつになっても子供は心配だとか可愛いという言葉の裏には子供をいつまでも自分の監視下に置いておきたいという親のエゴを感じざるを得ない。

 ところで、今の僕は言うまでもなく確実に親の期待を裏切った存在になっている。親はこの現状に怒ったりしてこないが、内心さぞかし落ち込んでいるだろう。同級生と比べて明らかな落ちこぼれなのだから。